原価管理とは?利益を守る原価計算と月次管理の実践ポイント
1. はじめに:粗利が合わないと原価管理で止まる
原価管理は、単に仕入単価や材料費を下げるためのものではなく、
月次で粗利を見たときに、なぜ利益率が落ちたのかを追えるようにするための管理です。
特にアパレル・小売では、原価は仕入価格だけで決まらず、輸入諸掛、物流費、値引き、返品、棚卸差異、在庫評価などが後から影響します。
そのため、売上が伸びていても、粗利率が想定より下がることがあります。
こういった中で、重要なのは、こうした要因を会計上の集計だけで見るのではなく、商品別・取引別・店舗別に追える状態にしておくことです。
それができていないと、売上はあるのに利益が残らない、在庫金額はあるのに収益につながらない、月次締めで原価差異の説明に時間がかかる、といった問題が起こります。
2. 原価管理とは何を管理することか
原価管理とは、商品やサービスにかかったコストを把握し、予算や目標と比べながら利益を守るために調整する活動です。
原価を計算して終わるのではなく、原価が高くなった理由を確認し、仕入、販売価格、在庫、値引き、業務運用のどこを変えるかまでつなげます。
ここで混同しやすいのが、原価管理と原価計算です。原価計算は、商品や部門ごとの原価を算出する作業です。
一方、原価管理はその計算結果を使って、目標原価との差、利益率の変化、在庫評価への影響を見ながら、次の仕入や販売判断へつなげる管理です。
要するに計算は入口で、管理はその後の判断まで含みます。
2.1. 原価管理と原価計算の違い
原価計算は、材料費、労務費、経費などを集計し、商品や製品の原価を求めるための作業です。
製造業では、原材料費、加工費、工場の間接費を含めて製品別に原価を計算します。
一方、小売やアパレルでは、仕入原価に加えて、諸掛、在庫評価、値引き、返品などが粗利に影響するため、販売後の利益まで含めて原価を捉える必要があります。
それに対して原価管理は、その計算結果をどう使うかの話です。
たとえば予定していた原価率が45%だった商品が、実績では52%になっている場合、単に「原価が上がった」と見るだけでは足りません。
実際には、仕入単価が上がったのか、為替や物流費が乗ったのか、セール値引きで粗利が落ちたのか、返品や棚卸差異が影響したのかを分ける必要があります。
そしてここまで追えないと、次の企画で価格を上げるのか、仕入先と交渉するのか、在庫消化を早めるのかを判断できません。
2.2. 原価に含める費目
原価に含める費目は、業種や管理目的によって変わります。
製造業では材料費、労務費、製造経費が基本になりますが、アパレル・小売では仕入原価に加えて、輸送費、関税、検品費、倉庫費、外注加工費などが粗利を押し下げる要因になります。
会計上の分類だけを見ると費目は整理しやすいものの、現場業務ではもう少し複雑です。
輸入商品の運賃をどの商品にどの割合で配賦するのか、検品費をSKU単位まで乗せるのか、物流費を販売管理費として見るのか、商品原価に近いコストとして見るのかで、粗利の見え方が変わります。
ここは会社によって運用が分かれやすく、同じ売上でも利益率の説明が変わるところです。
2.3. 標準原価と実際原価
原価管理では、標準原価と実際原価を分けて見る場面があります。
標準原価とは、あらかじめ設定した予定原価で、商品企画や予算管理では、この標準原価をもとに販売価格、粗利率、利益計画を組みます。
実際原価とは、実際に発生した仕入、材料費、労務費、経費などをもとに計算した原価です。
また標準原価と実際原価がずれること自体は珍しくありません。
このズレた時に問題になるのは、その差異を見ても原因が追えないことです。
為替変動で仕入原価が上がったのか、外注加工費が想定より高かったのか、物流費の配賦が粗かったのか。
こういった差異の理由を分けておかないと、次回の予算や価格設定に同じズレが残ります。
そのため原価管理では、差異の金額だけでなく、どの費目で、どの商品群で、どのタイミングで発生したかを残すことが必要です。
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項目 |
主な役割 |
確認したい内容 |
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標準原価 |
予算、価格設定、利益計画の基準 |
企画時点の原価率、目標粗利、予定仕入単価 |
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実際原価 |
実績の利益率を確認するための原価 |
仕入、諸掛、外注費、在庫評価、差異金額 |
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差異分析 |
標準と実績のズレを原因別に見る |
材料費差異、価格差異、数量差異、配賦差異 |
3. 原価管理で見るべき数字
実際のところ、原価管理で見るべき数字は、原価率だけではありません。
原価率は分かりやすい指標ですが、それだけでは利益がどこで減ったのかまでは分かりません。
たとえば、粗利率が下がった場合でも、原因は一つではありません。
仕入単価が上がったのか、値引きが増えたのか、返品や棚卸差異が影響したのかによって、取るべき対応は変わります。
仕入単価の問題であれば、仕入先との条件交渉や発注量の見直しが必要です。
値引きが原因であれば、販売計画や在庫消化の見直しが必要になります。
棚卸差異が大きい場合は、入出庫や返品処理の確認が必要です。
このように、原価管理では原価率だけでなく、売上、粗利、仕入、値引き、返品、在庫金額、棚卸差異をつなげて確認できることが重要です。
3.1. 売上総利益だけでは見えない差
売上総利益とは、売上高から売上原価を引いた利益です。
損益計算書を見るうえでは基本になる数字ですが、売上総利益だけを見ても、原価管理の改善箇所までは分かりません。
粗利率が下がったとしても、仕入原価が上がったのか、値引き販売が増えたのか、滞留在庫の評価を落としたのかで対応が変わります。
アパレルでは、プロパー販売、セール販売、アウトレット、卸販売で粗利の出方が変わります。
定価販売では利益が出ていても、シーズン後半の値引きで粗利が削られることがあります。
さらに返品や棚卸差異が加わると、売上時点では見えていた利益が月次では変わってしまいます。
そのため原価管理においては売上総利益を見たあとに、どの販売経路、どの商品群、どの処理で利益が動いたかまで追う必要があります。
3.2. 材料費、仕入原価、諸掛
材料費や仕入原価は、原価管理の中心になる項目です。
ただし、仕入単価だけで原価を判断すると、商品別の粗利を正しく見にくくなります。
例えば、輸入品であれば、関税、運賃、保険料、検品費などが加わり、国内仕入でも、物流費や外注加工費が発生する場合があります。
これらを商品原価に含めるか、全社共通の費用として処理するかによって、商品別の採算の見え方は変わります。
細かく配賦すれば、商品ごとの採算は見やすくなりますが、一方で、月次処理の負荷は増えます。
そのため、配賦ルールを決める前に、ブランド別、品番別、SKU別、店舗別のどこまで粗利を見るのかを整理しておく必要があります。
目的が曖昧なまま細かく配賦すると、ルールだけが複雑になり、管理に使いにくくなります。
3.3. 労務費、経費、配賦
製造業の原価管理では、材料費だけでなく労務費や製造経費も扱います。
またアパレル・小売でも、外注加工、検品、物流、倉庫作業、店舗作業にかかる費用をどう見るかで、利益の見方が変わります。
すべてを販売管理費として見るのか、一部を商品や部門に配賦するのかは、管理したい粒度によって変わります。
ただし、配賦は雑に扱うと、実態とかけ離れた数字になります。
たとえば物流費を売上比率で一律に配賦すると、実際には倉庫移動や返品が多い商品ほどコストがかかっているにもかかわらず、数字上は同じように見えてしまいます。
一方で、細かく配賦しすぎると、月次締めのたびに集計作業が重くなります。
そのため配賦は、細かければよいというものではありません。
商品別、ブランド別、店舗別のどの単位で利益を判断したいのかを先に決め、その目的に合う範囲で設計する必要があります。
目的が曖昧なまま配賦ルールだけを細かくすると、数字は複雑になる一方で、判断には使いにくくなります。
4. アパレル・小売で原価がずれる場面
アパレル・小売の原価管理では、仕入時点の原価と、販売後に見える利益がずれることがあります。
商品が入荷し、店舗や倉庫に配分され、売上になり、その後に返品や値引き、在庫評価が反映されます。
この流れのどこかで処理が遅れたり、費用の乗せ方が変わったりすると、月次締めの段階で、
粗利率の低下が仕入条件によるものなのか、値引きや返品によるものなのか、在庫評価によるものなのかを切り分けにくくなります。
4.1. 仕入と在庫評価
仕入時点では、商品ごとの原価が分かっているように見えます。
ただし、仕入計上のタイミング、入荷予定との差、仕入未受、返品、諸掛の確定時期がずれると、月次の在庫金額も粗利も変わります。
特に輸入品や外注加工がある場合、商品は先に入荷していても、関連費用が後から確定することがあります。
このように、商品は動いているのに原価や関連費用が確定していない場合、問題になるのが在庫評価です。
期末在庫をどの金額で評価するかによって、売上原価も粗利も変わります。
棚卸差異が出た場合も同じです。
在庫数量が帳簿と実在庫でずれると、在庫金額が変わり、結果として売上原価や粗利にも影響します。数量差異は在庫管理の問題に見えますが、原価管理上も無視できません。
そのため、入出庫の処理が遅れているだけなのか、返品処理が漏れているのか、実際に在庫が減っているのかを切り分けないと、原価管理の数字にも影響が出ます。
4.2. 値引き、返品、棚卸差異
値引きは売上側の処理に見えますが、粗利管理では避けて通れません。
原価が変わっていなくても、販売価格が下がれば当然粗利率は落ちます。
そのため、定価販売とセール販売を分けて見ないと、商品原価が高いのか、在庫消化のための値引きで利益が落ちたのかを切り分けにくくなります。
返品も月次の粗利に影響します。
返品された商品を再販売可能在庫に戻すのか、検品待ちにするのか、不良品として評価を落とすのかによって、在庫金額と売上原価への影響は変わります。
値引きと返品は、販売後に発生する処理でありながら、月次の粗利を動かす要因です。
そのため、売上側の例外処理として後回しにせず、原価管理・粗利管理の確認対象に含める必要があります。

棚卸差異や入出庫のズレが原価に影響している場合
原価管理では、仕入単価だけでなく、入荷、出荷、返品、移動、棚卸差異が在庫金額や売上原価にどう影響するかも確認します。
入出庫管理の記事では、在庫差異や誤出荷につながる運用の崩れ方と、改善時に確認したいポイントを整理しています。
4.3. SKU、店舗、シーズン別の粗利
アパレルでは、同じ品番でもカラーやサイズによって売れ方が変わります。
また、店舗、EC、卸、アウトレットでは販売価格や値引き率も異なります。
全体の粗利率だけを見ていると、利益を支えている商品と、値引きや在庫処分で利益を削っている商品が見えにくくなります。
そのため、原価管理を販売判断に使うには、SKU、店舗、シーズン、販売チャネルごとに粗利を確認できる状態が必要です。
ただし、すべてのSKUを同じ細かさで毎日確認する必要はありません。
まず見るべきなのは、売上比率が高い商品、値引きが大きい商品、在庫金額が膨らんでいる商品で、
こうして見る対象に優先順位を付けることで、利益改善につながる商品やチャネルを見つけやすくなります。
5. 原価管理を日々の業務に落とす進め方
原価管理は、月末に数字を確認するだけでは改善につながりません。
日々の仕入、売上、在庫、返品、値引きの処理が、月次の粗利や在庫金額にどう影響したのかを追える状態にする必要があります。
そのためには、まず「計画と実績を分ける」「差異の原因を見る」「月次で粗利を確定する」の3つに整理すると進めやすくなります。
この流れを作ることで、原価管理を単なる集計ではなく、発注、価格設定、値引き判断、在庫管理の見直しに使えるようになります。
5.1. 目標原価と実績原価を分ける
最初に分けるのは、目標原価と実績原価です。
目標原価は、商品企画や予算段階で置いた原価です。実績原価は、実際の仕入や費用を反映した原価です。
この2つを同じ表で見られないと、計画時点では利益が出るはずだった商品が、販売後にどこで崩れたのかを追えません。
ここで大事なのは、目標原価を作ること自体ではありません。
目標原価と実績原価の差を、次の発注、価格設定、値引き判断に戻せる形で残すことです。
目標より原価が高くなった商品を、次回も同じ仕入条件で発注すれば、同じ粗利不足が繰り返されます。
逆に、実績原価が安定している商品は、価格政策や販促計画を組みやすくなります。
5.2. 差異分析で原因を分ける
差異分析では、計画していた原価と、実際に発生した原価のズレを確認します。
大事なのは、差額の大きさを見ることではなく、なぜズレたのかを原因別に分けることです。
たとえば、同じように原価差異が出ていても、原因が仕入単価の上昇なのか、為替や物流費の変動なのか、返品や棚卸差異による在庫金額の変動なのかで、取るべき対応は変わります。
仕入単価が原因であれば、仕入先との条件交渉や発注量の見直しが必要です。
為替や物流費が原因であれば、価格設定や諸掛の反映ルールを見直す必要があります。
返品や棚卸差異が原因であれば、入出庫処理、返品処理、棚卸精度の確認が先になります。
このように差異分析は、会計上の説明資料を作るためだけのものではありません。
粗利が計画から外れた原因を切り分け、どの業務処理を見直すべきかを判断するために使います。
5.3. 月次処理で粗利を確定する
月次処理では、売上、仕入、在庫、返品、値引き、棚卸差異、掛管理、原価計算を確認し、粗利を確定します。
ここで処理が分断されていると、売上は締まっているのに仕入が未確定、在庫はあるのに諸掛が乗っていない、返品処理が翌月に回っているといったズレが出ます。
月次で毎回時間がかかる会社では、原価計算そのものより、前段の処理が揃っていないことがあります。
仕入計上の締め日、在庫評価のタイミング、返品の扱い、値引き後の売上、諸掛の配賦ルールが揃っていないと、原価計算は最後に帳尻を合わせる作業になりがちです。
月次処理を安定させるには、原価計算の前に、原価へ影響する処理をどのタイミングで締めるかを決めておく必要があります。
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確認項目 |
見る内容 |
止まりやすいところ |
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仕入 |
仕入単価、入荷、仕入未受、諸掛 |
商品は入っているが費用が後から確定する |
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在庫 |
在庫数量、在庫金額、棚卸差異、評価 |
数量差異が売上原価や在庫金額に影響する |
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売上 |
販売価格、値引き、返品、粗利 |
値引きや返品で販売後に粗利が変わる |
6. Excel管理で止まりやすいところ
原価管理はExcelでも始められます。
商品別の仕入単価、標準原価、実際原価、粗利率を並べるだけでも、原価や粗利の変化は見えやすくなります。
ただし、SKU数、店舗数、倉庫、販売チャネルが増えると、Excel管理では更新作業や数字の突合に時間がかかりやすくなります。
特に原価管理では、仕入、売上、返品、値引き、在庫評価、会計処理がつながっていないと、月次で粗利を確認するたびに原因確認が必要になります。
この章では、Excel管理で止まりやすいポイントと、システム化を検討する際に確認すべき項目を整理します。
6.1. 入力と更新の属人化
Excel管理で最初に起きるのは、入力と更新の属人化です。
誰かが仕入データを貼り付け、別の人が売上データを集計し、月末に在庫金額を合わせる。
慣れている担当者がいる間は回りますが、処理の順番や更新ルールが人に依存すると、差異が出たときに原因を追いにくくなります。
特に原価管理では、数字を上書きしてしまうと履歴が残りません。
いつ標準原価を変えたのか、どのタイミングで諸掛を乗せたのか、返品によって在庫金額がどう変わったのかが追えないと、差異分析は手作業になります。
Excelは一覧性に優れていますが、処理履歴と承認ルートを残す用途には限界があります。
6.2. 販売、在庫、会計の分断
販売、在庫、会計が別々のファイルやシステムで動いていると、原価管理は後追いになりやすくなります。
売上データはPOSや販売管理、在庫金額は在庫管理、会計処理は会計システムに分かれている場合、月次で粗利を確認するたびに、どの数字を基準にするのかを確認する作業が発生します。
特に詰まりやすいのは、月次締めのタイミングです。
売上は締まっているのに返品が未反映、仕入は計上済みなのに諸掛が未配賦、在庫差異は出ているのに売上原価への反映が翌月になる、といったズレが起こることがあります。
このような状態では、月次の数字自体は出せても、粗利がなぜその金額になったのかを説明するのに時間がかかります。
原価管理を安定させるには、販売、在庫、会計の数字を別々に集計するだけでなく、それぞれの処理がどのタイミングで月次に反映されるのかを揃えておく必要があります。
6.3. 原価管理システムで確認したい項目
原価管理システムを検討する場合、計算機能の有無だけを見ても十分ではありません。
重要なのは、原価がどこで変わり、粗利や在庫金額にどう影響したのかを追えることです。
確認したいのは、標準原価と実際原価を分けて持てるか、仕入と在庫評価がつながるか、差異分析を商品別・部門別・店舗別に見られるか、月次処理の前後で数字の変化を追えるかです。
特に、アパレル・小売では、SKU、店舗、倉庫、販売チャネル、シーズンごとに粗利を見る場面があります。
どの店舗で値引きが多いのか、どのシーズンの商品が在庫金額を圧迫しているのか、どの仕入先の商品で原価差異が出やすいのかまで確認できると、
仕入条件、価格設定、販促、在庫消化の見直しにつなげやすくなります。
7. CV.netで原価、在庫、月次をつなげて見る場合
原価管理を業務に活かすには、原価計算の結果だけでなく、仕入、在庫、売上、返品、値引き、棚卸差異が粗利にどう影響したのかを追えることが重要です。
Creative Vision.NETでは、受注、仕入、在庫、配分、出荷、売上分析に加えて、掛管理、月次処理、原価計算までを同じ業務の流れで扱えます。
仕入がどの商品に紐づき、在庫がどの金額で残り、売上後にどの原価で粗利を見るのか。返品や値引き、棚卸差異が入ったときに、月次処理でどの数字が動くのか。
こうした流れを販売・在庫の動きとあわせて確認できることで、粗利の変動理由を追いやすくなります。
7.1. 諸掛を含めた商品原価の把握
CV.netでは、商品の仕入価格に加えて、関税、国内運送料、保険料などの諸掛を原価に反映できます。
諸掛は「生地付属仕入」として入力し、商品仕入データと伝票番号などで紐づけることで、数量基準または金額基準で按分できます。
これにより、仕入単価だけではなく、付随費用を含めた原価で粗利を確認しやすくなります。
特に輸入品や外注加工がある場合、商品は先に入荷していても、関連費用が後から確定することがあります。
このような場合でも、諸掛を商品原価に反映できると、月次で粗利を確認するときに、仕入価格と付随費用を分けて確認しやすくなります。
諸掛を商品ごとの原価に含めず、まとめて費用処理すると、どの商品にどれだけ費用がかかったのかが見えにくくなります。
一方で、CV.netのように仕入データと諸掛を紐づけて管理できると、どの商品にどの費用が反映されたのかを確認しやすくなり、商品別・品番別の粗利管理に活かしやすくなります。
7.2. 総平均原価と原価履歴の管理
CV.netでは、総平均原価の更新にも対応しています。
前月在庫と当月の受払をもとに、当月の総平均原価を計算し、算出した原価を当月から適用するか、翌月から適用するかを選択できます。
この機能があることで、仕入や在庫の動きに応じて原価を見直しやすくなります。
たとえば、同じ商品でも仕入時期によって単価が変わる場合、都度の仕入単価だけで粗利を見ると、月次の粗利がぶれやすくなります。
総平均原価を使うことで、在庫と受払を踏まえた原価で粗利を確認しやすくなります。
また、原価更新を行った場合は、原価変更登録や商品マスタの原価履歴に記録を残せます。
いつ原価が変わったのか、変更前後の原価がどうだったのかを後から確認できるため、粗利率が変動したときの原因確認にもつなげやすくなります。
7.3. 評価替・最終仕入原価への対応
原価管理では、通常の仕入原価や総平均原価だけでなく、期末や在庫評価のタイミングで在庫評価額を確認・調整する場面があります。
そしてCV.netでは、総平均原価法に加えて、最終仕入原価での更新にも対応できます。
また、期末などに商品の評価減を行う場合は、ブランドやアイテムなどの条件で対象商品を絞り込み、率や金額を指定して原価や元上代を更新できます。
これにより、在庫として残っている商品をどの金額で評価するのか、値下げや評価減をどの範囲に反映するのかを管理しやすくなります。
アパレルでは、シーズンをまたいだ在庫や、アウトレット・セール販売に回る商品が発生します。
そのため、仕入時点の原価だけでなく、在庫評価や評価替まで含めて管理できることが、月次の粗利確認や在庫金額の把握につながります。
7.4. 販売・在庫・月次処理をつなげた粗利確認
CV.netでは、受注、仕入、在庫、配分、出荷、売上分析に加えて、掛管理、月次処理、原価計算まで同じ業務の流れで扱えます。
そのため、売上だけを見て終わるのではなく、仕入や在庫評価、諸掛、原価更新が月次の粗利にどう影響したのかを確認しやすくなります。
原価管理で重要なのは、計算結果を出すことだけではありません。
仕入がどの商品に紐づき、諸掛がどの基準で按分され、在庫がどの原価で評価され、売上後にどの粗利として見えるのか。
この流れを追えることが重要です。
販売側の数字と会計側の数字が分かれていると、月次で粗利を確認するたびに、どの数字を基準にするのかを合わせる作業が発生します。
CV.netのように、販売、仕入、在庫、原価計算、月次処理を同じ流れで確認できると、差異が出たときにどこから確認すべきかを判断しやすくなります。
8. 次に確認する作業
原価管理を見直すときは、最初からシステムや会計処理の細部に入る必要はありません。
まず確認したいのは、粗利が落ちたときに、原因を追えるだけの数字がそろっているかです。
具体的には、仕入原価、諸掛、在庫金額、値引き、返品、棚卸差異を、商品別・店舗別・シーズン別に確認できるかを見ます。
この時点で数字が追えない場合は、原価計算の方法よりも、仕入、販売、在庫のデータが分断されている可能性があります。
まずは、月次で粗利を説明するために必要な数字がどこにあり、どの単位で確認できるのかを整理することが重要です。
8.1. まず見る5つの項目
最初に確認したいのは、仕入原価、諸掛、在庫金額、値引き、返品、棚卸差異です。
この項目を商品別、店舗別、シーズン別に見られるかを確認すると、粗利が落ちた理由を絞り込みやすくなります。
たとえば、粗利率が落ちている場合でも、仕入単価が上がったのか、諸掛が増えたのか、値引きが多かったのか、返品や棚卸差異が影響したのかで、見るべき業務は変わります。
すべての費目を細かく分ける前に、まずはこの項目で月次の粗利変動を説明できるかを確認する方が現実的です。
もしこの時点で数字が追えない場合は、原価計算そのものよりも、データの持ち方を見直す必要があります。
仕入と在庫が別管理になっている、値引きや返品が販売側だけで完結している、棚卸差異が月末調整だけで終わっている場合、粗利が動いた原因を後から確認しにくくなります。
この状態が毎月続く場合は、Excelの集計方法や運用ルールの見直しだけで解決できるかを確認します。
それでも仕入、在庫、販売、月次処理の数字がつながらない場合は、原価管理を販売・在庫管理とあわせて扱えるシステムへの切り替えも検討対象になります。
8.2. 月次前にそろえる資料
月次前には、商品別の仕入実績、在庫金額、売上と値引き、返品、棚卸差異、諸掛配賦のルールをそろえます。
完璧な資料である必要はありませんが、どの数字を見て粗利を確定するのかが分からないまま月次に入ると、毎月同じ確認作業が発生します。
また資料をそろえるときは、部門別の説明資料を増やすより、同じ商品や同じ期間を軸にして数字を並べた方が見やすくなります。
品番、SKU、店舗、倉庫、販売チャネル、仕入先をどこまで入れるかは会社によって変わりますが、
少なくとも粗利が大きく動く商品群については、仕入から売上まで一連で追える形にしておきたいところです。
9. まとめ:原価管理は粗利の理由を追える形にすること
原価管理は、原価を下げるためだけの活動ではありません。
売上が出たあと、どの商品で、どの費用が、どの処理を通じて粗利に影響したのかを追えるようにするための管理です。
最後に、この記事で押さえたいポイントを4つにまとめます。
- 原価管理と原価計算の違い:原価計算は原価を算出する作業であり、原価管理はその結果を仕入、価格設定、在庫、値引き、月次処理の判断へ戻すことであること。
- 原価に含める費目:材料費、労務費、経費だけでなく、アパレル・小売では仕入原価、諸掛、物流費、返品、棚卸差異まで粗利に影響すること。
- 差異分析の使い道:標準原価と実際原価の差を金額だけで終わらせず、仕入単価、配賦、在庫評価、値引き、返品などの原因に分けて確認すること。
- 月次処理との接続:原価管理を安定させるには、仕入、在庫、売上、返品、掛管理、原価計算を月次で同じ流れとして確認できるようにすること。
次にやる作業は、原価管理の項目を増やすことではありません。
まずは直近の月次で粗利が落ちた商品群を選び、仕入原価、諸掛、値引き、返品、棚卸差異のどれが影響したのかを1つずつ確認します。
そのうえで、Excelで追える範囲、現行システムの設定や運用ルールで対応できる範囲、システム切り替えを検討すべき範囲を分けておくことが重要です。
仕入・在庫・販売・月次処理を同じ基盤で管理する必要があるかまで整理できれば、ベンダーへの相談時にも課題を具体的に伝えやすくなります。
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株式会社ディー・ティー・ピー
システム営業部 編集チーム
株式会社ディー・ティー・ピー システム営業部 編集チームは、アパレル・小売企業向けに販売管理・在庫管理・顧客管理を含む基幹システムを販売・導入支援してきた、
300社以上の導入実績を持つチームです。
仕入原価、諸掛、在庫評価、値引き、返品、棚卸差異を販売管理と月次処理につなげ、粗利の変動理由を追える原価管理のシステム運用を支援しています。







