レビュー分析のやり方とは?口コミ活用の手法や無料ツールも解説
1. レビュー分析とは?顧客の本音をデータ化する目的
レビュー分析で分かること
レビュー分析は、一件一件の声を眺める作業ではなく、集まった声を共通の軸で並べて「どこを直せば売れやすくなるか」「どの訴求が刺さっているか」を見極める取り組みです。
たとえば次のようなことが分かります。
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商品そのものへの評価(色・サイズ感・素材・使い勝手など)
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販売に関わる評価(説明の分かりやすさ、画像とのギャップ、価格感)
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サービスに関わる評価(配送の丁寧さ、問い合わせ対応の印象)
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リピートやクロスセルに繋がりそうなニーズの片鱗
ここで重要なのは、良い声と悪い声を同じ棚に乗せておくことです。
そうすることで「今季すぐ直さなければならないところ」「次シーズンの企画に回すところ」「CSのトークで吸収するところ」が分けやすくなります。
アパレル・小売がやると何が変わるか
アパレル・小売の口コミは、商品そのものだけでなく「色展開」「サイズ展開」「着用シーン」「返品条件」といった、在庫・販売計画に直結する情報を多く含みます。
ここを分析できると、
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滞留しそうな色・サイズを早めに販促側へ渡せる
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説明不足で返品が多い商品を特定してページを書き直せる
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店舗とECで評価が分かれている品番を見つけて在庫を動かせる
といった、業務に乗せやすい示唆が手に入ります。
これは単に「レビューを読む」のとはレベルが違います。
競合レビューも見るべき理由
自社の声だけを見ていると、顧客が本当に比較しているポイントが見えにくいことがあります。
近しい価格帯・テイストのブランドのレビューも同じ軸でざっと眺めておくと、
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お客様が当たり前に求めている最低ライン
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市場全体で評価されている訴求
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あえて自社は踏み込まなくてよい領域
が浮かび上がります。ここまで見ておくと「お客様はこう言っています」と社内への提案が通りやすくなります。
2. 初心者でもできるレビュー分析4ステップ
ここからは実際の進め方を、現場で回しやすいように4つに分けて説明します。
特別なツールがなくても始められる手順です。
Step1 データソースを決めて収集する(EC/SNS/アンケート)
まず「どこから拾うか」を決めます。典型的には以下のようなものです。
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自社EC・モールに投稿されたレビュー
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主要SNSでブランド名・商品名に触れている投稿
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店舗やEC購入後のアンケートの自由記述欄
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コールセンター・チャットに寄せられた声の記録
最初から全部を取りに行くと大変なので、「今いちばん売れているカテゴリ」「今返品が気になっている品番」など、対象を絞って集めると回しやすくなります。
収集のときは投稿日時・商品・チャネルなど、あとでフィルタできる情報も一緒に持っておきましょう。
Step2 クレンジングして表計算ソフトで可視化
集めたままのテキストは、絵文字・URL・重複投稿などが混ざっていて読みにくいので、いったん整えます。
具体的には、
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不要な記号や定型文を削除する
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同じ意味なのに表記が異なる語をそろえる(「サイズ」「サイズ感」など)
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商品コードやカテゴリとひも付ける
といった作業です。
整えたら、表計算ソフトやオンラインのスプレッドシートに1行1レビューで並べ、
「どのジャンルの話なのか(商品/サービス/配送など)」「評価の向き(ポジ/ネガ)」を列として追加していきます。
ここまでできると、集計・フィルタ・グラフ化が一気に楽になります。
Step3 ポジ/ネガで傾向を読む
次に、内容を大きくプラスとマイナスに分けて眺めます。
見るポイントはおおむね次の3つです。
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褒められているときに一緒に出てくる言葉
→ 訴求文・商品説明にそのまま転用できます。 -
不満と一緒に出てくる言葉
→ 説明不足なのか、品質なのか、配送条件なのかを切り分けます。 -
チャネルによって出やすい文言
→ 店舗とECで評価が分かれる理由を探るヒントになります。
ここで大事なのは、声の強さに飲み込まれず「何件あったか」「どのカテゴリに集中しているか」で見ることです。
1件だけ強い言い回しがあっても、全体で見たとき少数なら優先順位を下げられます。
Step4 改善アクションに落とし込み、効果を再測定する
分析のゴールはレポートではありません。
各部門が動ける形に変換して渡すところまでがセットです。たとえばこんな分け方が考えられます。
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商品企画向け:サイズ感・色味・素材に関する継続的な指摘
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EC運用向け:画像と実物のギャップ、説明の不足、同梱物の有無
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CS向け:よくある問い合わせと、その時の満足・不満の表現
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物流・店舗向け:梱包・配送・受け取りに関する要望
渡したあとは、次の期間に同じ方法でレビューを集め直し、指摘の頻度や表現が変化しているかを見ます。
これで「改善が効いたかどうか」を社内で説明しやすくなります。
3. 代表的な分析手法3選【これだけ覚えればOK】
現場でよく使うのは、次の3つです。難しい理論をすべて覚える必要はなく、ここを押さえておけば実務で説明できます。
ポジティブ・ネガティブ(センチメント)分析
テキストを「好意的」「否定的」「どちらでもない」に分けて数を数える方法です。
新商品を公開した直後や、サイトの仕様を変えた後にこれを行うと、早い段階で違和感を拾えます。
手作業でもできますが、投稿数が多いときは自動で分類してくれる仕組みに載せると安定します。
テキストマイニング(頻出語・共起)
レビューの中でよく出る語や、セットで出てくる語を数えていきます。
「素材」と一緒に「思っていたより」と出ているならギャップ説明が足りず、
「色」と一緒に「写真と違う」と出ているなら画像・撮影環境の見直しが必要、
といった具合に“改善の入口”を特定できます。
レーダーチャートで自社と競合を比較
商品の魅力をいくつかの軸に分け(例:デザイン性・着心地・価格納得感・耐久性・配送満足)、それぞれにレビューでの評価を割り当てて形にします。
これを自社と市場の平均値で描き分けると、どこを伸ばすと差別化できるか、逆にどこは維持でよいかがひと目で伝えられるようになり、
そしてレポートで説明するときに有効に使うことができるようになります。
4. 無料で始めるか?ツールで自動化するか?の判断基準
ここが多くの担当者が悩むポイントです。線を引くとすれば次の3つです。
表計算ソフトでできること
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投稿数がそこまで多くない
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チャネルが1~2種類に限られている
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分析は月に1回程度でよい
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分析者が同じ人で、業務負荷をコントロールできる
こうした条件なら、表計算ソフトやオンラインのスプレッドシートで十分です。
関数とピボット集計を使えば、ポジ/ネガ比率や、カテゴリごとの件数はすぐに出せます。
件数が増えたら専門ツール・自動処理へ
一方で、
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複数のEC・SNS・アンケートをまとめて見たい
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毎日・毎週といった高い頻度でモニタしたい
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言い回しの揺れを自動的に正規化したい
といったニーズが出てくると、手作業では追い付きません。この段階では、レビューの取得・整形・分類を自動で流せる仕組みを選ぶと楽になります。
自社の基幹データと連携したい場合も同様です。
販売・在庫・顧客データも一緒に見たいなら「CreativeVision.net」「LoyalCustomerVision」
アパレル・小売の場合、レビュー単体で見ても「どの店舗・どのチャネル・どの顧客層で起きている声なのか」が分からないと打ち手がぶつ切りになります。
販売・在庫・顧客を一元的に管理するためのシステムとして提供されているCreativeVision.netやLoyalCustomerVisionであれば、レビューで見えた傾向を、実際の販売実績や在庫の状況、顧客属性と並べて見ることができます。
ここに載せておくと、
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声が多い商品に対して出荷・配分をどう調整するか
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興味を示している顧客にどんな販促を届けるか
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在庫が薄いのに評価が高い商品をどうリピートするか
といった“次の一手”を業務と一緒に回しやすくなります。
5. レビュー分析を成功させる3つのコツ
目的を最初に決める
「とりあえず全部見てみる」から始めると、途中で何をまとめたいのか分からなくなります。
最初に「返品理由を減らすため」「商品説明を整えるため」「次のMD会議に根拠を出すため」など、使い道を決めておくと、分類の仕方も自動的に決まります。
データの偏りを理解する
レビューを残すお客様にはクセがあります。実際は、とても満足しているか、とても不満を持っているかのどちらかに寄りやすく、沈黙している多数の意見はあまり見ることができません。
「この意見はどの層からの声なのか」「どのチャネルに偏っているのか」を確認しておくと、過剰に振り回されずに済みます。
分析→共有→改善のサイクルを回す
1回の分析で終わらせず、決めたフォーマットで社内に回すところまでをセットにすると習慣になります。
たとえば、
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月初に前月分のレビューを分類する
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週次のEC/MDミーティングで上位の声を共有する
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対応した内容を管理シートやナレッジに残す
というように「誰に渡すか」「いつ見せるか」を決めておくと、レビュー分析が“マーケ担当の個人作業”から“全社の改善サイクル”に変わります。
6. まとめ|口コミを“点”で見ず、業務データに乗せる
レビュー分析は、声を読むこと自体が目的ではありません。
アパレル・小売では、レビューの中に「サイズがわかりづらい」「写真と色が違う」「このブランドはこの雰囲気が好き」といった、販売計画・在庫配分・顧客コミュニケーションに直結する情報が必ず入っています。
だからこそ、
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どんな声があるかを拾い
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どれが多いかを数え
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どの部門に回すかを決め
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もう一度効果を確かめる
という形にしておくことが重要です。
販売・在庫・顧客情報を一元的に扱える基盤――たとえばCreativeVision.netやLoyalCustomerVision――の上にこのサイクルを載せておけば、口コミで見えたトレンドをすぐに在庫や販促の意思決定に反映できます。
属人的にレビューを“読んで終わる”状態から抜け出し、現場が動けるデータとして流通させるところまでを、今回の記事をひとつの型として使っていただければと思います。






