フィットアンドギャップ分析(F&G分析)テンプレートの使い方|テンプレートでわかる要件整理の実践ステップ
フィットアンドギャップ分析テンプレートの使い方|入力例と色分けでわかる要件整理の実践ステップ
システム導入やリプレイスで失敗を防ぐ鍵は、初期段階でのフィット&ギャップ分析(F&G分析)です。
本稿は、Excel版テンプレートを使い、短時間で要件を整理するための実務手順をまとめました。
入力欄の色分けと役割分担、記入のコツ、判定後の見積・スケジュールへの落とし込みまでを、現場でも迷わず使える水準で解説します。
フィットアンドギャップの詳しい考え方、要件の優先度のつけ方について以下の記事をご参照ください。
F&G分析テンプレートとは?
本シートは、現行業務(As-Is)と導入候補システムの標準機能を対比し、Fit(適合)/Gap(乖離)を明確化するための分析ツールです。
目的は、どの業務を標準機能で運用し、どこに業務変更・追加開発・運用代替が必要かを整理することにあります。
構成は以下の通りです。
「業務領域 → 要件名 → 現行運用 → 新システムでの対応 → 優先度 → コメント」
までをお客様側でご記入ください。
以降の 「Fit/Gap判定」「対応方針」 については、DTP側でシステム機能や設計方針を踏まえ、記入・整理を行います。
なお、判定にあたっては単に機能の有無だけでなく、前提マスタ・権限設定・締め処理・帳票粒度・連携タイミング・監査要件など、実際の運用条件まで含めて検討します。
最終的な分析結果は、要件定義・方式設計・見積算出・導入スケジュール策定の基礎資料となり、段階導入や優先順位の判断にも直結します。
ぜひ本シートをご活用ください。
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Fit/Gapの考え方とテンプレの目的
Fitは標準機能+設定で要件を満たせる状態、Gapは標準のみでは満たせず追加措置が必要な状態です。
テンプレートの目的は、Gapの有無だけでなく“理由”と“影響”を可視化し、対応方針(業務変更/追加開発/運用代替)を合意できる材料に整えることにあります。
判定を通じて、やらない要件・後回し要件も明確化します。
色分け(黄色=貴社/灰色=DTP)の分担ルール
黄色セルは貴社入力欄(業務領域・要件名・現行運用・新システムでの対応メモ・優先度の初期案)、灰色セルは当社(DTP)が記入(Fit/Gap判定・理由・対応方針の提案)とし、責任範囲を明確化します。色分けにより属人化を防止し、レビューや差戻しもスムーズです。
テンプレート全体の構成と役割
本シートは、現行業務(As-Is)と導入候補システムの標準機能を対比し、Fit(適合)/Gap(乖離)を明確化するための分析ツールです。
目的は、どの業務を標準機能で運用し、どこに業務変更・追加開発・運用代替が必要かを整理することにあります。
🔹テンプレート全体の構成と項目の役割
本テンプレートは、上から下に入力するだけで、業務とシステムを同一軸で比較できる構成となっています。
各項目の役割は以下の通りです。
| No | 項目名 | 内容・役割 |
|---|---|---|
| ① | 業務領域 | 対象となる業務カテゴリ(例:受注管理、在庫管理など) |
| ② | 要件名 | 分析対象となる業務要件・機能名称 |
| ③ | 現行運用方法 | 現在の運用内容や使用ツール、課題点などを記入 |
| ④ | 新システムでの対応 | 想定している新システム上での対応方法や補足メモ |
| ⑤ | 優先度(Must/Should/Could/Won’t) | 要件の重要度を初期案として貴社で設定(レビューで確定) |
| ⑥ | コメント | 備考・補足事項・論点整理など |
| ⑦ | Fit/Gap判定 | 標準機能で対応可否をDTP側で判定 |
| ⑧ | Gapの理由・課題 | Gapの場合、その理由や前提条件の不一致を明記 |
| ⑨ | 対応方針 | DTP側での対応提案(業務変更・追加開発・運用代替等) |
🟨お客様入力範囲
本シートでお客様にご記入いただく項目は以下の ①~⑥ までです。
⑦以降(Fit/Gap判定・理由・対応方針)は すべてDTPが記入・分析します。
| No | 項目名 | 記入者 |
|---|---|---|
| ① | 業務領域 | お客様 |
| ② | 要件名 | お客様 |
| ③ | 現行運用方法 | お客様 |
| ④ | 新システムでの対応 | お客様 |
| ⑤ | 優先度(Must/Should/Could/Won’t) | お客様 |
| ⑥ | コメント | お客様 |
| ⑦ | Fit/Gap判定 | DTP |
| ⑧ | Gapの理由・課題 | DTP |
| ⑨ | 対応方針 | DTP |
STEP1|現行業務を整理する(お客様記入)
まずは対象範囲とKPIを定め、As-Is(現行業務)のフロー・帳票・データ項目・締め・承認・例外を棚卸します。
黄色セルの「業務領域」「要件名」「現行運用方法」に以下の内容をそれぞれ記入します。
🟨 記入内容(STEP1で入力する項目)
| 項目 | 記入内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| ① 業務領域 | 分析対象となる業務カテゴリを入力します。 | 例:受注管理/出荷管理/仕入管理/在庫管理/請求処理 など |
| ② 要件名 | 対象業務内の具体的な処理・要件を入力します。 | 例:出荷指示登録/納品書発行/返品処理/締め確定/仕入入力 など |
| ③ 現行運用方法 | 現在の運用内容・使用ツール・帳票名・手順を記載します。起点・責任者・出力粒度・課題点も含めます。 | 例:Excelで出荷指示書を作成。倉庫担当が印刷して出荷。締めは週次。返品は別シート管理。 |
課題は定性的でも構いませんが、発生タイミングや影響部門を添えることで、後続工程が明確になります。
この作業は部門横断で相互確認し、重複や二重管理の可視化を行いましょう。
✅ 入力チェックリスト(As-Is棚卸)
-
必須帳票は特定済みか
-
締め手順は明文化されているか
-
例外と許容条件の一覧はあるか
-
連携データの項目・方向・タイミングは明記したか
-
権限と承認経路は定義済みか
⚠ NG例と改善例(例文付き)
| NG例 | 改善例 |
|---|---|
| 「顧客管理をする」 → 抽象的 | 「顧客基本情報の新規・更新・参照。更新は二重承認。履歴保持必須。夜間バッチで販促基盤へ連携。」 |
| 「売上集計」 → 粒度不明 | 「日次・店舗別・SKU別の売上・粗利をCSV出力。締め後はロック、修正は承認必須。」 |
STEP2|新システムでの対応状況を整理する(DTP対応)
このステップでは、DTPがデモや打合せ内容をもとに新システムでの対応状況を整理します。
CreativeVision.net(CV)の標準機能を中心に、入力・処理・出力の流れや前提条件をまとめます。
この結果をもとに、後続のFit/Gap判定および対応方針策定を行います。
記入方針(お客様準備:デモ前)
デモ実施前に、次の3項目を 「現時点での想定・希望ベース」 でご入力ください。
これにより、デモ当日の確認観点が明確になります。
-
④「新システムでの対応」:
現時点で想定している処理方法・希望イメージを記載してください。
(例:「受注確定後に自動で在庫引当が走る想定」「承認フローは現行踏襲を希望」など) -
⑤「優先度」:
業務上どの程度必要か(Must/Should/Could/Won’t)を初期案として入力してください。
※DTPはこの情報をもとに、段階導入や設計スケジュールを検討します。 -
⑥「コメント」:
補足事項・留意点・関係部門での懸念・運用上の注意点などを簡潔に記入してください。
これらはデモ前の仮入力であり、デモや打合せ後にDTP側が裏付けを取り、Fit/Gap判定を確定します。
STEP3|Gapへの対応方針と優先度を決める(DTP対応)
STEP2の結果をもとに、DTPがFit/Gapの判定と対応方針を策定します。
お客様には、結果の確認と方向性のご承認をお願いします。
対応方針の検討プロセス
Gapには、以下の3つの基本選択肢があります。
1️⃣ 業務を標準機能に合わせる
2️⃣ 追加開発(アドオン)を行う
3️⃣ 運用・ツールで代替する
判断軸は、
競争優位性/法規・監査適合/標準化の必要性/保守性/教育負荷/TCO。
これらを基準に、段階導入や開発優先度を設計します。
優先度(Must/Should/Could/Won’t)の扱い
-
優先度は、お客様が業務上の必要性をもとに初期案を入力します。
-
DTPはその情報を参照し、導入スケジュール・設計方針・見積算出に反映します。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| Must | 稼働に必須(法令・KPI・監査要件など) |
| Should | 早期改善が望ましい |
| Could | 余力があれば対応 |
| Won’t | 今回は対象外(将来検討) |
STEP4|DTPによる分析と結果活用
テンプレート受領後、DTPがFit/Gapの根拠と対応方針を記入し、レビュー資料を作成します。
分析結果は、要件定義・方式設計・見積・スケジュールの原本として活用され、
段階導入のロードマップ策定やテスト観点の洗い出しにも直結します。
Fit/Gap結果 → 要件定義/見積/スケジュールへの落とし込み
| 区分 | 対応方針例 |
|---|---|
| Must × アドオン | 初期スコープに含める |
| Should × 業務変更 | 教育・手順書で吸収 |
| Could × 運用代替 | 暫定運用として明文化 |
| Won’t | 次期検討対象 |
このマトリクスをもとに、見積区分・工程配置・テスト前提の整合を図ります。
合意形成の進め方(レビュー会のポイント)
-
判定根拠・運用制約・連携影響・テスト観点・監査要件を優先確認。
-
差戻し時は「何をもって完了とするか」を明示し、議事に記録。
-
修正・更新内容はテンプレートに反映し、最新版を単一管理して齟齬を防止します。
STEP5|送付と次のステップ
完成ファイルは 「F&G分析_御社名.xlsx」 として保存し、本文に担当・範囲・確認希望点を添えて送付します。
DTPで受領後、レビュー会にて結果と対応案を共有。
その後、要件定義・方式設計・見積・スケジュール具体化へと進みます。
CreativeVision.net(CV)およびLoyalCustomerVision(LCV)は、DTPが独自に開発・提供しているシステムです。
デモ環境を通じて、機能や連携イメージを実際にご確認いただけます。
テンプレートのダウンロードやご相談は、本文末の窓口からお申し込みください。
ファイル命名/送付先/件名テンプレ
推奨命名:「F&G分析テンプレート_御社名.xlsx」。
送付先:sales@dtpnet.jp
件名例:「F&G分析テンプレート送付(○○株式会社)」。
本文には、対象領域、責任者、レビュー希望時期、注意点(機微情報の有無)を記載ください。
フィットアンドギャップ分析テンプレートを活用するメリット
見える化による全体最適
F&G分析の最大の利点は“見える化”です。
業務・連携・統制まで同一フォーマットで整理され、部門横断での認識統一が進みます。
色分けにより役割が明確になり、作業の属人化を防止。レビューや差戻しも迅速化し、後工程の手戻りを最小限に抑えられます。
また、Excel形式のため社内共有や修正も容易。テンプレ自体が、以降の要件定義・方式設計・見積・スケジュール・テスト計画の“母体”として機能します。
部門横断の合意形成と属人化排除
Fit/Gap・理由・対応方針・優先度が一望でき、議論の土台を共通化できます。
色分けされた入力領域により、お客様とDTPの役割分担が明確。
レビューや引継ぎ、教育も円滑に進み、変更履歴を残すことで、合意事項の逸脱や認識差を最小化します。
アパレル特有の業務にも適用しやすい理由
アパレル業界特有の SKU粒度・シーズン・チャネル・締め運用・POS/EC/WMS連携・在庫評価 といった要素を、
「入力 → 処理 → 出力 → 例外」の流れで整理できる構造になっています。
そのため、SKU単位の在庫や販売の流れをテンプレ上に落とし込みやすく、
CreativeVision.net(CV)の標準範囲確認や、LoyalCustomerVision(LCV)との連携検討にもスムーズに活用できます。
よくある質問
Q1. テンプレートの対象や粒度は?
A. 基本は業務単位(受注・出荷・仕入・在庫・請求など)で記入します。
詳細粒度は1業務1行を目安に、処理単位まで細分化して構いません。
Q2. Gapが多い場合はどう進める?
A. まずは想定ベースで埋めてください。
後続のレビューでDTPが裏付けを取り、Fit/Gap判定を確定します。
部署ごとに記入し、集約・重複解消→レビューの流れが実務的です。
Q3. 他部署にも展開できる?
A. 可能です。部署単位で記入し、最後に統合レビューを行うと効果的です。
重複箇所はDTP側で集約・整理をサポートします。
Q4. Fit/Gapを自前で判定してもいい?
A. 暫定的なFit/Gap判定をしても問題ありません。
ただし最終判定は、DTPがシステム仕様に基づいて公式に実施します。
判断根拠が不明瞭な箇所はコメントに補足をお願いします。
Gapが多い場合の進め方と段階導入
STEP3で述べた通り、Gapは以下の3区分で対応を整理します。
1️⃣ 業務変更で標準に合わせる
2️⃣ 追加開発(アドオン)で補う
3️⃣ 運用・ツールで代替する
-
Must×アドオン:初期に対応(稼働に必須)
-
Should×運用/教育:次期または教育で吸収
-
Could×運用代替:暫定対応として明文化
-
Won’t:対象外または次期検討
そしてSTEP4で述べたように整理することで、見積区分・工程配置・テスト設計まで一本化できます。
F&Gテンプレート活用の流れ
DL → 記入 → 送付 → 評価 → 提案 のスムーズな導線
1️⃣ テンプレートをダウンロード
2️⃣ 黄色セル(①〜⑥)を記入
3️⃣ ファイル名「F&G分析_御社名.xlsx」で保存
4️⃣ sales@dtpnet.jpへ送付
5️⃣ DTPがFit/Gapを評価
6️⃣ レビュー会で対応方針を確定
7️⃣ 要件定義・見積・スケジュールへ反映
CreativeVision.net(CV)やLoyalCustomerVision(LCV)の詳細説明は、デモ環境で実際の画面を確認しながらご案内いたします。
まとめ
F&G分析テンプレートは、
導入初期に「適合と乖離、対策と優先度」を整える中核工程です。
テンプレートに沿って要件を可視化し、早期に合意形成を行うほど、見積・工程・稼働品質の確度は高まります。
色分けと分担ルールにより、誰が何を入力するかが明確になり、
現場から経営層まで同じ情報基盤を参照できます。
まずはAs-Isを棚卸し、デモ・打合せの結果を具体語で落とし込み、
Gapには3つの対処(業務変更・追加開発・運用代替)を当てはめて整理しましょう。
テンプレートのダウンロードやご相談はお気軽にください。
弊社が貴社の業務実態に合わせた具体的な進め方をご提案します。










