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デシル分析とは?売上を最大化する「顧客分布」の読み解き方と実務での活用ガイド

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デシル分析とは?売上を最大化する「顧客分布」の読み解き方と実務での活用ガイド

1. はじめに:データ分析を「判断の共通言語」に変える

1.1. 上位依存から脱却できない顧客戦略と優先順位判断のばらつき

「売上の上位顧客は把握しているが、中位・下位層へのアプローチが場当たり的になっている」「キャンペーンの優先順位が担当者の『勘』に頼っており、組織としての整合性が取れていない」--。
実際、多くの小売・アパレル企業の意思決定において、最大の障害となっているのはデータ不足ではなく、データの「分布」が整理されていないという事実があります。

1.2. SKU過多・値引き常態化で「合計値」だけでは利益が読めない

アパレル・小売業界は、SKU(在庫最小管理単位)の過多、値引き販売の常態化、ECと店舗のチャネル分断といった構造要因により、「売れているのに利益が残らない」状態に陥りやすくなっています。
この環境では、売上総額のような“合計値”だけを見ても、打ち手の優先順位は決められません。どの顧客層が利益を支え、どの層に投資すべきかを、分布として捉える必要があります。

たとえ規模の大きい企業であっても、気温変化など外部要因を前提に需要を読み、在庫・販促・配分を調整しながら利益を作っています。
つまり求められているのは「合計」ではなく、顧客・商品・チャネルごとの構成(分布)を把握し、資源配分を最適化する力です。デシル分析は、そのための入口になります。

1.3. 本稿のゴール:分布を揃えて、投資判断を揃える

本稿の目的は、単なる統計手法の解説ではありません。
顧客を10等分する「デシル分析」を通じて、経営・MD・現場が「何を判断し、どう施策の優先順位を揃えるか」という業務基盤を再定義することにあります。

デシル分析の前提整理として、以下の記事で分析の基本的な考え方を解説しています。
アパレル分析のやり方とは?売上・データを活用する方法を解説

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まず次章では、デシル分析を「上位顧客の抽出」ではなく「顧客分布の可視化」として捉え直し、売上構成の偏りを把握するところから紹介します。

2. デシル分析の本質は「上位抽出」ではなく「分布の可視化」にある

デシル分析を単なる「優良顧客を見つけるためのフィルター」と考えているなら、その認識を改める必要があります。
なぜなら、デシル分析の本質は、全顧客を10等分して売上構成比を可視化する「ビジネスの健康診断」にあるためです。
本章では、デシル分析を「ビジネスの健康診断」として使うために、診断に必要な見方(合算値の罠/累積構成比/投資判断)を整理します。

2.1.「売上総額」の罠を突破する

実際のところ、売上総額という「合算値」だけを見ていると、ビジネスの歪みに気づけません。
一部の顧客に依存しすぎた脆弱な体質なのか、それとも健全な成長基盤があるのか。
デシル別の累積売上構成比を見れば、ブランドの現在地は冷酷なまでに可視化されます。

2.2.アパレル店舗における売上構成比の分布イメージ

パレートの法則に代表される「売上の偏在構造」を参考にした、典型的なアパレル店舗の分布モデルを示します。
この図から分かる通り、売上は均等に発生しているわけではなく、少数の上位顧客に大きく集中しており、

その一方で、顧客数のボリュームは中下位層に広がっており、「人数」と「売上貢献度」は一致していません。

つまり重要なのは、売上総額そのものではなく、どの層がどれだけ構成しているかという“分布の形”です。
この構造を理解することで、投資すべき層と割り切るべき層を戦略的に整理できるようになります。

デシル区分

顧客数

累積売上構成比

アパレル特有の顧客像イメージ

投資判断の方向性

デシル1

10%

50%

高単価アウターを複数買いする最優良ファン

個別のおもてなし・限定案内

デシル2

10%

20%

定期的にベーシックウェアを買い足すリピーター

離反防止・新カテゴリ提案

デシル3

10%

10%

シーズンに一度まとめ買いする成長層

再来店頻度の向上施策

デシル4〜6

30%

15%

セール時中心、またはギフト需要の一時客

効率的な情報提供のみ

デシル7〜10

40%

5%

低単価小物のみ、または過去一度きりの購入客

在庫消化の出口として活用

2.3.実務への接続:販促費配分の「言い切り型」判断

上図から分かる通り、売上は均等ではなく、明確な“偏在構造”を持っています。
この分布を前提にしなければ、販促費の配分は一貫性を欠き、投資効率も安定しません。

そのため重要なのは、経営層・MD・現場がデシルのランク定義を共有し、
販促を「感覚的な判断」ではなく「構造に基づく優先順位」で配分することです。

そしてデシル別に“投資対象”と“割り切り対象”を明確にすることで、次のような判断をチーム共通のルールとして置けるようになります。

  • デシル1・2:再来店とLTVを最大化するため、手厚い案内や限定施策など、投資を優先する

  • デシル7以下:プロパー施策は抑え、在庫消化や低コスト接点(必要最低限の情報提供)に寄せる

このように分布を前提に意思決定を言語化すると、議論は「誰に何を打つか」ではなく「どの層にどれだけ投資するか」という構造的な話に変わり、
結果として、限られた販促費をROIの高い領域へ戦略的に集中させやすくなります。

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デシル分析は、顧客分布を可視化し、投資判断の優先順位を揃えるための“診断ツール”です。
次章では、デシル・RFM・ABC分析を目的別にどう使い分けるべきか、そして分析を継続させるための自動化の考え方を整理します。

3. 分析設計の要諦:デシル・RFM・ABC分析の使い分けを整理する

顧客分析を基軸としつつも、目的に応じて手法を使い分けるのがプロの戦略です。
本章では、顧客分析を「やった感」で終わらせないために、目的に応じてデシル・RFM・ABC分析をどう使い分けるべきかを整理し、
あわせて、分析を継続運用に乗せるための前提として、Excelの手作業から脱却し、Sheets/SQL/基幹システムのどこで自動化するのが現実的かまでを扱います。

3.1.分析手法の比較整理

主要な分析手法について、「指標の数」「分析対象」「活用シーン」「アパレル実務での使いどころ」を以下の比較表に整理しました。
まずは全体像を確認してみてください。

手法名

指標の数

分析対象

主な活用シーン

アパレル実務での具体例

デシル分析

1(金額)

顧客全体

全体の分布把握、戦略の骨子策定

販促予算の配分比率の決定

RFM分析

3(R/F/M)

顧客個別の状態

個別施策のパーソナライズ

休眠客へのカムバックDM送付

ABC分析

1(金額等)

商品・在庫

死に筋の排除、売れ筋の在庫積増

季節商品の早期値下げ・滞留在庫整理

この比較表から分かるのは、分析手法ごとに「見る対象」と「出せる結論(使いどころ)」が異なるという点です。
デシル分析は“分布の把握”、RFMは“顧客状態の見極め”、ABCは“商品・在庫の優先順位付け”に強く、目的に合わせて使い分けることで判断の精度が上がります。

またRFM分析,ABC分析についてより詳しく知りたい方、こちらの記事もお読みください

☞”RFM分析とは|小売・アパレル企業が顧客理解を深めるための基本指標と実務活用法
☞”ABC分析とは|CreativeVision.netの標準機能で売れ筋を可視化し、MD判断に直結させる実務ステップ

3.2.ステップアップ:精度を高める「自動化」の設計

比較表で全体像を確認したら、まずは「購入金額(Monetary)」のみでデシル分析を実施してみてください。
その後、運用に慣れてきた段階で、分析精度と施策の実用性を高めるために、「最終購入日(Recency)」や「購入頻度(Frequency)」を加えた設計へ段階的に移行します。

このステップに入ると更新頻度と条件管理が重要になるため、Excelの手作業を続けると更新漏れや条件ブレ、属人化が発生しやすくなります。早い段階で自動化(Sheets/SQL/基幹システム)へ切り替えることを検討してください。
この際に、検討する自動化の代表的な方法は、以下の3つです。

  • Google Sheetsでの自動化: PERCENTILE関数で境界値を算出し、PERCENTRANK.EXC()関数で各顧客の順位%を求めることで、デシル区分を自動判定するロジックを構築します。。
  • SQLでの自動化: NTILE(10) OVER (ORDER BY amount DESC) を用いてデシル区分を自動付与し、基幹データから常に最新の分布を抽出できる環境を整えます。
  • 基幹システムでの自動化(標準搭載されている場合):Creativevision.netのようにデシル分析が標準搭載されている基幹システムであれば、境界値算出や分類ロジックを個別に組まずとも、基幹データ(売上・顧客・商品など)をもとに常に最新のデシル分類を自動反映できます。

これにより、分析は“特別な集計作業”ではなく、日々の運用の中で確認し、意思決定に使う指標として定着しやすくなります。

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分析手法の使い分けと自動化の考え方を押さえることで、デシル分析は「作業」から「運用」へ移行できます。
次章では、CreativeVision.netのような基幹システムを前提に、分析と実行が分断されがちな状態をどう改善し、意思決定まで一気通貫で回せる業務基盤として整えるかを整理します。

4. CreativeVision.net:分析を「判断と実行」へ直結させる業務基盤

4.1. Sheets/SQLの限界は「計算」ではなく「運用の分断」にある

デシル分析は“作れる”だけでは成果につながりません。
重要なのは、分析結果が現場の施策(配分・販促・接客)に、同じ定義のまま、同じ頻度で反映され続ける運用になっているかどうかです。

Google SheetsやSQLは検証を素早く回すのに有効ですが、実務ではデータ抽出・加工・共有・反映の工程が増えやすく、担当者やタイミングによって集計条件が揺れ、
分布(デシル)の読み違いが起きやすくなります。
つまり“計算できる”ことと、“運用として回る”ことは別問題なのです。

4.2. 業務基盤を一元化するメリットは「判断のブレ」を潰せること

基幹データを業務基盤側に一元化できると、デシル分析は“集計表”ではなく、意思決定のための共通言語として機能し始めます。
その具体的なメリットは次の通りです。

  • 数字の正しさが揃う:売上・在庫・受注などの参照元が一本化され、部門ごとの“数字違い”が起きにくくなります。

  • 定義が揃う:対象期間、返品・値引きの扱い、店舗/ECの含め方など、分析の前提条件がブレにくくなります。

  • 更新が揃う:データ更新のタイミングが統一され、「先週の抽出を使い回す」といった遅延を防げます。

  • 実行が揃う:販促・配分・接客の判断が同じ基準で動きやすくなり、属人的な運用になりにくいです。

要するに、一元化の価値は「便利」ではなく、判断のズレを構造的に起こしにくくすることにあります。

4.3. CreativeVision.netは「同じデータ基盤で」分析と実行をつなげる

CreativeVision.netは、販売・在庫・受注・売上といった基幹データを一元管理し、アパレル特有の指標を標準搭載した形で、日々の判断を支える業務基盤です。
さらにLoyal Customer Vision(LCV)を組み合わせることで、RFMやデシルといった顧客分析が可能になり、
全顧客を売上順に10区分し、上位10%が売上の何割を占めるか・累積比率まで把握できるようになります。
加えて、LCVは分析結果を“レポート”で終わらせず、ターゲット抽出から配信設定、PUSH通知といったアクションまで接続する一気通貫で運用することができます。

このように、分析(分布の把握)と実行(施策)が同じ基盤の中で繋がることで、「データはあるのに行動が変わらない」を起こしにくくし、組織として判断基準を揃えやすくなります。

Loyal Customer Visionで顧客分布を可視化する

デシル分析やRFM分析をもとに、優良顧客の把握から施策実行までを一気通貫で運用できる顧客分析基盤です。分布の把握にとどまらず、販促配信や再来店促進へつなげる具体的な活用イメージを資料でご確認いただけます。

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ただし、基幹システムで自動化しても、デシル分析は“読み方”を誤ると意思決定を外します。
次章では、現場で頻発する「分布の誤読」と、その回避策を具体的に整理します。

5. 現場で陥る「分析の罠」:分布の誤読が招く意思決定の失敗

5.1.現場で陥る3つの罠

ただしデシル分析の結果を盲信することは、リテール現場において極めて危険です。
本章では、分布の読み違いによって「投資すべき相手」と「割り切るべき相手」を取り違え、販促費・在庫・MD判断を誤る典型パターンを整理します。
以下の3つは、必ず警戒してください。

  1. 「離反顧客」の混入: 累積購入額は高いものの、直近1年以上購入がない「かつての優良客」が、デシル1に紛れ込むケースです。
    この誤読を放置すると、反応しない層に販促を投下し続け、費用だけが膨らみます。
    対策:RFM分析を併用し、Recency(最新購入日)でフィルタリングしたうえで、デシルを再評価します。
  2. 「一見客」の過大評価: 高単価商品を一度だけ購入した顧客が上位に入り、継続的な支持者と同列に扱われるケースです。
    これを真のファンと誤認すると、翌シーズンのMDや販促設計(品揃え・価格帯・訴求軸)を見誤ります。
    対策:RFM分析を併用し、Frequency(購入頻度)や購入カテゴリの継続性を合わせて確認し、「単発」と「継続」を切り分けます。
  3. 「下位層(デシル7〜10)」の切り捨て: 下位層を「不要」とみなして接点を断つと、滞留在庫の逃げ道がなくなり、結果として値引き負担やキャッシュ回収の遅れを招きます。
    下位層は、滞留在庫を消化するための重要な出口として捉え、戦略的に“割り切った施策”を当てるべき対象です。
    対策:プロパーの手厚い施策は避けつつ、低コストで回転を作る施策(例:条件付きクーポン、まとめ買い誘導)に寄せます。

5.2.施策の妥当性はROIで検証する

ここまでの通り、デシル分析は「誰に何をするか」を決める強力な判断材料ですが、施策は必ず投資効率で検証する必要があります。
投資効率を測る際は、以下の数式を念頭に置いてください。
ROI(%) = ((利益額 - 投資額) / 投資額) × 100

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デシル分析は強力ですが、誤読を放置すると販促費・在庫・MD判断を誤り、成果が出にくくなります。
まとめでは、分析を一時的な取り組みで終わらせず、「更新・定義・施策」を仕組みとして定着させるための要点をまとめます。

6. まとめ:デシル分析を「仕組み」として定着させる

デシル分析は、過去の集計作業ではなく、「未来の投資配分」を決めるための経営ツールです。
本稿のまとめとして、デシン分析によって組織の力を最大化するために、以下の3点を徹底してください。

  1. 更新運用の自動化: Excelのコピペ作業を排し、常に最新の顧客分布が可視化される環境を死守する。
  2. 定義の共通化: 「デシル1」が誰を指し、どのような接客を受けるべきか。経営から店舗スタッフまで言葉とイメージを揃える。
  3. 施策の連動と再点検: ランクに応じた施策(ROIに基づく投資)をルール化し、自社のデータ定義やSKU管理の「粒度(りゅうど)」が適切かを常に再点検する。

これらを徹底することで、データ分析を一時的な取り組みで終わらせず、継続的に改善が回る「仕組み」として定着させられます。
結果として、不透明な市場環境でも、限られた資源を最適に配分できる組織へ近づきます。

この記事の監修・運営

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株式会社ディー・ティー・ピー
システム営業部 編集チーム

アパレル・小売企業向け販売管理・在庫管理システムの導入支援を行う専門チーム。
現場でお客様から寄せられる「リアルな悩み」や「導入の失敗例」をもとに、社内の技術ノウハウを結集して記事を制作。
システム選定に不慣れな担当者様にも分かりやすい、失敗しないための情報発信を心がけています。

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